痩せ薬の二強、明暗がくっきり分かれた ノボの次世代候補が直接対決でマンジャロに敗れる
ノボノルディスクの次世代候補カグリセマが、2型糖尿病の直接比較試験でイーライリリーのチルゼパチドに血糖の面で敗れた。一方リリーの売上は前年比48%増。この勝負が、日本に何がいつ入ってくるかを左右する。

痩せ薬の世界は、いまイーライリリーとノボノルディスクの二強が争っています。
ノボの次世代候補「カグリセマ」が、マンジャロと直接比べる試験で、血糖の面で負けました。
ビジネスの話に見えますが、どちらが勝つかは「日本に何がいつ入ってくるか」に直結します。
そもそも何の話?
いま世界の痩せ薬市場は、2社がほぼ独占しています。
| 主な薬 | |
|---|---|
| イーライリリー(米) | マンジャロ/ゼップバウンド(チルゼパチド)、フォーンダヨ(飲み薬) |
| ノボノルディスク(デンマーク) | オゼンピック/ウゴービ/リベルサス(セマグルチド) |
この2社が「次の一手」を競っています。今回はその勝負に、はっきりした差がついたという話です。
何が起きたか
2026年8月5日の決算発表で、明暗が分かれました。
ノボの敗因:直接比較試験で負けた
ノボが開発中の「カグリセマ」は、セマグルチド(オゼンピックの成分)に「カグリリンチド」という別の成分を組み合わせた薬です。
カグリリンチドが効かせるのは「アミリン」という、GLP-1とは別のホルモンの経路。満腹感に関わる仕組みで、GLP-1とは違う角度から食欲に効かせようという設計です。次世代候補として期待されていました。
ところが2型糖尿病の患者を対象に、マンジャロ(チルゼパチド)と直接比べた試験で、血糖のコントロールの面で負けました。
ここが重要です。「直接比較試験」は、薬の評価で最も強い証拠のひとつです。別々の試験の数字を並べる比較と違い、同じ条件で正面から比べているからです。その勝負で負けた、というのは重い結果です。
リリーの快進撃
| 数字 | |
|---|---|
| リリーの四半期売上 | 前年比 48%増(約230億ドル) |
| 通期見通し | 850億〜870億ドルへ上方修正 |
| チルゼパチド | 「世界で最も売れている薬」 |
一方ノボは、飲むウゴービの売上が市場の期待に届かず、株価は一時6%下落しました。通期見通しは改善したものの「横ばい〜6%減」で、まだ減速局面にあります。
この勝負が、日本の私たちに関係する理由
「アメリカの企業の決算なんて関係ない」と思うかもしれません。関係します。
**製薬会社は、勝てる薬に開発資源を集中させます。**どの薬が売れるかで、次に何が開発され、どの国にいつ申請されるかが変わります。日本は承認が数年遅れるのが通例なので、いま海外で起きている勝負の結果が、数年後に日本で選べる薬を決めます。
なお、カグリセマは米国では2025年12月に承認申請済みです。今回の敗北は承認されるかどうかを直接左右するものではありませんが、承認後に売れるかどうかには効いてきます。
日本ではカグリセマもカグリリンチドも未承認で、申請予定も公表されていません。未承認薬を個人輸入して健康被害が生じても、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
出典
- BioPharma Dive「Lilly climbs, Novo falls as obesity drug battle intensifies」2026年8月5日
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