速報2026-08-23

「注射じゃなくて飲み薬」の争いが始まっている 飲むウゴービが発売来最高、リリーの飲み薬は失速

痩せ薬は注射から飲み薬へ移りつつある。ノボの経口ウゴービが週17.6万件で発売来最高を記録する一方、リリーのフォーンダヨは5週ぶりに減少。飲み薬になると何が変わるのか、日本ではどうなっているのかを整理する。

出典:FiercePharma

「注射じゃなくて飲み薬」の争いが始まっている 飲むウゴービが発売来最高、リリーの飲み薬は失速

痩せ薬はいま、注射から飲み薬へ移りつつあります。

ノボの飲むウゴービが週17万6,000件超で発売以来の最高を記録。一方リリーのフォーンダヨは5週ぶりに減少しました。

日本では飲むウゴービもフォーンダヨも未承認。糖尿病用のリベルサスだけが使えます。

なぜ「飲み薬」が大事なのか

GLP-1系の痩せ薬は、これまで週1回の注射が主流でした。効果は確立していますが、注射という時点で心理的なハードルがあり、冷蔵保存も必要です。

そこで各社が競っているのが、飲み薬にできるかという点です。飲み薬になると、こう変わります。

  • 注射への抵抗感がなくなる
  • 常温で持ち運べる
  • 製造コストが下がる(=価格が下がる余地が生まれる)

ペプチドは本来、胃で分解されてしまうので飲み薬にしにくいという弱点があります。それをどう乗り越えるかが、いまの競争の焦点です。

2つの飲み薬が、違う方法で挑んでいる

飲むウゴービ(ノボ)フォーンダヨ(リリー)
成分経口セマグルチド25mgオルフォルグリプロン
正体ペプチド(吸収を助ける工夫で飲み薬に)ペプチドではない低分子
強み実績あるセマグルチドの飲み薬版分解されにくい・常温保存・食事の時間を選ばない

フォーンダヨが面白いのは、そもそもペプチドをやめた点です。GLP-1と同じ働きをする、まったく別の構造の化合物を作った。だから胃で分解される問題を最初から回避できます。

直近の数字

データ分析会社IQVIAの集計(Citiのノート経由)によると、2026年8月第3週の処方数は——

  • 飲むウゴービ:週17万6,000件超(2026年1月の発売以来、最高)
  • フォーンダヨ:3万6,620件(前週の3万8,928件から減少)

フォーンダヨは5週連続で伸びていましたが、勢いが止まりました。ウゴービ全体に占める飲み薬版の比率も、33%から35%へ上がっています。

ただし、まだ勝負はついていません

フォーンダヨの失速が示しているのは、設計上の強み(安い・常温・時間を選ばない)だけでは、処方数がまっすぐ伸びるとは限らないということです。

とはいえ両方とも週ごとの変動がまだ大きく、**どちらが優位を固めたと判断するには早すぎます。**1週の数字で結論を出さないでください。

日本ではどうなっているか

薬日本での扱い
リベルサス(経口セマグルチド)承認済み。ただし2型糖尿病の薬として
飲むウゴービ(経口セマグルチド25mg)未承認
フォーンダヨ(オルフォルグリプロン)未承認(申請済みとされるが、承認は2027年以降の見込み)

ここは混同されやすいところです。日本で使える「飲むGLP-1」はリベルサスだけで、それは減量目的で承認された薬ではありません。

なお、未承認の薬を個人輸入して健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外になります。

追記(2026-10-07):FDAの承認番号と、その後の処方実績が分かった

本稿掲載後、飲むウゴービの承認がFDAのデータベース上どう登録されているか、本稿がopenFDAのdrugsfda.jsonを直接確認した。注射版と同じ承認番号(NDA218316)の中に、1.5mg・4mg・9mg・25mgの4規格の錠剤が登録されており、2025年12月22日付で「New Dosage Form(新しい剤形)」として承認されていた。つまり飲むウゴービは新規の薬としてではなく、既存の承認番号に剤形を追加する形で世に出ていたことになる。

処方実績についても、ノボ・ノルディスク自身が2026年6月7日付で発表した数字がある。発売(2026年1月5日)から同年6月1日までの累計処方箋数は300万件超。最初の100万件に12週間かかったのに対し、次の200万件はわずか10週間で積み上がっており、ペースは約5秒に1件だったという。新規処方のうち8割超がGLP-1治療を初めて受ける患者だったとも発表されており、注射からの乗り換えだけでなく、新規の患者層を取り込んでいる様子がうかがえる。

出典

関連:semaglutideorforgliprontirzepatide

本記事は海外の一次情報を日本語で要約した速報です。医学的助言ではありません。執筆:ペプチ堂管理人 /最終更新:2026-10-07