レタトルチド、第III相2試験でも主要評価項目を達成 心血管疾患を持つ群で80週22.6%減 承認申請は2027年Q1
イーライリリーが第III相 TRIUMPH-2 と TRIUMPH-3 のトップライン結果を公表した。2型糖尿病を併発する群で80週20.8%、確立した心血管疾患を持つ重度肥満群で22.6%の体重減少が報告された。FDAへの承認申請は2027年第1四半期の予定で、レタトルチドは現時点でどの国でも未承認である。
出典:Eli Lilly and Company(プレスリリース)
イーライリリーは2026年7月23日、GIP・GLP-1・グルカゴンの3受容体に作用するレタトルチド(Retatrutide)について、第III相の TRIUMPH-2 と TRIUMPH-3 のトップライン結果を公表した。両試験とも主要評価項目を達成したとしている。
2026年5月に公表された TRIUMPH-1 と合わせ、第III相の主要3試験の骨格が出そろった形になる。ただし承認申請の提出は2027年第1四半期の予定で、レタトルチドは現時点で日米いずれでも未承認である。
糖尿病併発群で20.8%、心血管疾患併発群で22.6%
TRIUMPH-2 は2型糖尿病を併発する肥満・過体重の成人1,152人を対象とした80週の試験。最高用量群で平均49.6ポンド(体重の20.8%)、中間用量群で45.4ポンド(19.1%)、低用量群で29.8ポンド(12.7%)の減少が報告された。プラセボ群は9.3ポンド(4.0%)だった。HbA1c は実薬群で1.4〜1.6%の低下、プラセボ群で0.2%の低下とされている。
TRIUMPH-3 は重度肥満に加えて確立した心血管疾患を持つ成人1,949人を対象とした80週の試験。最高用量群で平均55.8ポンド(22.6%)、中間用量群で52.7ポンド(21.6%)の減少が報告された。プラセボ群は7.7ポンド(3.2%)。
参考までに、糖尿病のない集団を対象とした TRIUMPH-1 では、80週・最高用量群で平均70.3ポンド(28.3%)が報告されている。糖尿病や心血管疾患を併発する集団で数字が小さくなるのは、既存の GLP-1 系薬でも一貫して見られる傾向である。
心血管リスク因子の変化も報告
TRIUMPH-3 では、最高用量群で中性脂肪が平均37.0%、non-HDL コレステロールが16.5%、収縮期血圧が9.3 mmHg 低下したと報告された。主要心血管イベント(MACE-5)のハザード比は0.82(95%信頼区間 0.55〜1.22)とされているが、信頼区間が1をまたいでおり、心血管イベントを減らすと結論づけられる結果ではない。
有害事象は下痢・悪心・便秘が中心で、有害事象による投与中止率は用量により3.8〜13.5%と報告されている。
未承認である事実は変わっていない
数字が出そろっても、承認申請はこれからである。第III相のトップラインは企業発表であり、査読を経た論文と規制当局の審査を通って初めて評価が確定する。
日本での開発・申請の予定は公表されていない。海外通販で「Retatrutide」として売られている粉末は承認薬でも治験薬でもなく、健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外である。開発元のイーライリリーは2026年8月12日、こうした販売業者6社を提訴したと発表している。
出典
- Eli Lilly and Company「Lilly’s triple agonist, retatrutide, successful in two additional Phase 3 obesity trials, delivering significant improvements in weight and A1C」2026年7月23日
- Eli Lilly and Company「Lilly’s triple agonist, retatrutide, delivered powerful weight loss in pivotal Phase 3 obesity trial」2026年5月21日(TRIUMPH-1)
- Jastreboff AM, et al. Triple-Hormone-Receptor Agonist Retatrutide for Obesity. N Engl J Med. 2023;389:514-526.(第II相)
- 関連記事:レタトルチド/チルゼパチド/次世代GLP-1系薬の一覧
関連:retatrutidetirzepatidesemaglutidenext-gen-glp1