速報2026-08-22

開発中の「三重作動薬」レタトルチド、80週で体重22.6%減 ただしまだどの国でも承認されていない

イーライリリーが第III相の追加2試験の結果を公表。2型糖尿病を併発する人で80週20.8%(約20.6kg)、心臓病を持つ重度肥満の人で22.6%(約25.3kg)の体重減少が報告された。ただし企業の速報値であり、承認申請は2027年初めの予定。海外通販の「レタトルチド」は承認薬でも治験薬でもない。

出典:Eli Lilly and Company(プレスリリース)

開発中の「三重作動薬」レタトルチド、80週で体重22.6%減 ただしまだどの国でも承認されていない

いま開発中で最も減量幅が大きいとされる薬「レタトルチド」の、大規模試験の結果が2つ追加で出ました。

80週で体重の20.8%(約20.6kg)と22.6%(約25.3kg)。持病のある人を対象にした試験での数字です。

ただしこれは企業が出した速報値で、論文にも規制当局の審査にも通っていません。どの国でも、まだ承認されていません。

そもそもレタトルチドとは

マンジャロやオゼンピックの「次」として、いま海外で最も注目されている開発中の薬です。

GLP-1系の薬は、体のホルモンの受け皿(受容体)にはまってスイッチを押すことで働きます。押すスイッチの数が、世代ごとに増えてきました。

押すスイッチ例
1つGLP-1オゼンピック、ウゴービ
2つGLP-1 + GIPマンジャロ、ゼップバウンド
3つGLP-1 + GIP + グルカゴンレタトルチド(開発中)

3つ目のグルカゴンは、エネルギーを消費する方向に働くホルモンです。「食欲を抑える」だけでなく「消費を増やす」方向にも効かせようという設計で、これが減量幅の大きさにつながっていると考えられています。

今回出た数字

イーライリリーが2026年7月23日、第III相試験(承認前の最終段階の試験)の追加2本の結果を公表しました。どちらも80週間の試験です。

TRIUMPH-2:2型糖尿病を併発する肥満・過体重の成人1,152人

体重の減少
最高用量20.8%(約22.5kg)
中間用量19.1%(約20.6kg)
低用量12.7%(約13.5kg)
偽薬4.0%(約4.2kg)

血糖の指標(HbA1c)も、薬を使った群で1.4〜1.6%低下しました(偽薬は0.2%)。

TRIUMPH-3:重度肥満に加えて心臓病を持つ成人1,949人

体重の減少
最高用量22.6%(約25.3kg)
中間用量21.6%(約23.9kg)
偽薬3.2%(約3.5kg)

参考として、糖尿病のない人を対象にした TRIUMPH-1 では 28.3%(約31.9kg) が報告されています。

数字が小さく見えても、悪い結果ではありません

「28.3% → 20.8%」と下がっているように見えますが、**対象にしている人が違います。**糖尿病や心臓病を併発している人では減量幅が小さくなるのは、既存のGLP-1系の薬でも一貫して見られる傾向です。同じ土俵の比較ではない、と読んでください。

心臓への影響は「まだ言えない」

TRIUMPH-3 では、最高用量群で中性脂肪が37.0%、悪玉系のコレステロール(non-HDL)が16.5%、上の血圧が9.3 mmHg 下がったと報告されました。

心臓の重い病気(心筋梗塞など)が減ったかどうかについては、**「まだ言えない」**という結果です。

報告されたのはハザード比0.82(95%信頼区間 0.55〜1.22)。むずかしい言い方ですが、意味はこうです。**「減った可能性もあるが、増えた可能性も数字の幅に含まれている」。**この幅が1をまたいでいる間は、「心臓病を減らす」と結論することはできません。企業も、そうは言っていません。

副作用は下痢・吐き気・便秘が中心。副作用で投与をやめた人は、用量によって3.8〜13.5%でした。

ここが一番大事:まだ承認されていません

数字が出そろっても、**承認申請はこれからです。**提出予定は2027年の初めです。

そして今回の数字は、**企業が出した速報値(トップライン)**です。査読を通った論文でも、規制当局が審査した結果でもありません。第三者がまだ検証していない数字である点は、押さえておいてください。

日本での開発・申請の予定は公表されていません。

**海外通販で「Retatrutide」として売られている粉末は、承認薬でも治験薬でもありません。**健康被害が生じても、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。開発元のイーライリリー自身が2026年8月12日、こうした販売業者6社を提訴したと発表しています。正規に入手できる経路は、治験に参加する以外にありません。

出典

関連:retatrutidetirzepatidesemaglutidenext-gen-glp1

本記事は海外の一次情報を日本語で要約した速報です。医学的助言ではありません。執筆:ペプチ堂管理人