16万本超のセマグルチドが自主回収、原因は「糸くず」 米コンパウンド薬局、半年前に受けた警告の後
米ミズーリ州のコンパウンド薬局アポロ・ケアが、セマグルチド注射液16万本超を自主回収した。理由はナイロンと絹たんぱく質の異物混入。半年前にFDAから無菌性違反の警告書を受けていた同社での事案。
出典:openFDA drug/enforcement API(FDA公式データベース)
米ミズーリ州のコンパウンド薬局アポロ・ケア(Apollo Care, LLC)が、セマグルチド注射液16万本超を自主回収した。
理由はナイロン/ポリアミドおよび絹たんぱく質系の異物混入。回収開始は2026年7月29日。
同社は半年前の2026年2月、無菌性違反でFDAから警告書を受けていた。
何が起きたのか
FDAが公開しているopenFDAの医薬品回収データベース(drug/enforcement)によると、米ミズーリ州コロンビアのコンパウンド薬局**アポロ・ケア(Apollo Care, LLC)**が、複数濃度のセマグルチド注射液を自主回収しています。
回収番号は複数件に分かれており、確認できる範囲だけでも計8万本超のバイアル(D-0747-2026、D-0748-2026、D-0755-2026)が含まれます。報道では、グリシン配合製剤を含めた回収対象の総数は16万本超(セマグルチド単剤約15.7万本、セマグルチド/グリシン配合約5,500本)とされています。理由はいずれも「Presence of Particulate Matter」——バイアル内に、ナイロン/ポリアミドおよび絹/たんぱく質系の異物が確認されたというものです。回収開始日は2026年7月29日、FDAの分類日は8月7日、報告日は8月19日です。分類はClass II(使用により一時的または医学的に回復可能な健康被害を引き起こす可能性がある、または重篤な健康被害の可能性は低いとされる区分)。
半年前に、すでに警告を受けていた
同社は2026年2月2日付で、FDAから無菌性(スタリリティ)に関する懸念と、施設の不衛生状態について指摘する警告書を受けていました。報道によれば、2025年の査察では清掃後も実験室や廊下の床に「白い繊維状の粒子や破片」が観察されていたとされています。
つまり今回の異物混入は、まったく予兆のなかった事故ではありません。品質管理上の懸念がすでに指摘されていた工場から、5カ月後に16万本規模の製品が出荷され、その後に異物混入で回収されるという経過をたどっています。
コンパウンド薬局という立ち位置
アポロ・ケアはFDA登録の**503B届出施設(アウトソーシング調剤施設)**で、処方箋なしでも医療機関向けに一定量をまとめて製造できる区分の薬局です。ノボ・ノルディスクの正規品(オゼンピック/ウゴービ)とは異なり、コンパウンド薬局が独自に調剤したセマグルチド製剤である点に注意が必要です。
ヤバい点は?
- 分類はClass II(生命を脅かすレベルではないとされる区分)ですが、注射剤への異物混入という事実そのものが重大です
- 回収対象はコンパウンド版セマグルチドであり、ノボ・ノルディスクの正規承認品(オゼンピック/ウゴービ等)ではありません
- 今回の記事は入手先・購入方法には触れません。個人輸入や通販での入手経路そのものが別の問題であることは、本サイトの既存記事で扱っています
関連する成分
出典
- openFDA drug/enforcement API(recall_number: D-0747-2026/D-0748-2026/D-0755-2026、recalling_firm: Apollo Care, LLC)
- FDA Warning Letter「Apollo Care, LLC - 715955 - 02/02/2026」
- MedShadow Foundation ほか複数媒体の報道(回収総数16万本超の内訳を報じたもの)
関連:semaglutide