調剤薬局がリリー・ノボを独禁法で訴えた裁判、連邦判事が却下
米テキサス州西部地区連邦地裁が2026年8月6日、調剤薬局Strive Specialtiesがリリー・ノボを相手取った独占禁止法訴訟を却下した。判事は「調剤薬(compounded)はブランド薬と同じ市場で競合していない」と判断し、原告は控訴を検討している。
米テキサス州西部地区連邦地裁が2026年8月6日、調剤薬局Strive Specialtiesがイーライリリー・ノボノルディスクを相手取った独占禁止法(反トラスト法)訴訟を却下した。
争点は、両社のテレヘルス独占提携が、調剤薬局による「カスタマイズされた代替薬」の処方を妨げているという主張。
判事は「調剤薬はブランド薬と同じ市場で競合しない」として、訴えを退けた。
何が起きたのか
調剤薬局のStrive Specialtiesは、イーライリリーとノボ・ノルディスクが独占的なテレヘルス提携を利用し、医師が調剤薬(compounded medication、既製品にない用量・組成をオーダーメイドで作る薬)を処方しにくい状況を作り出していると主張し、両社を独占禁止法違反で提訴していました。
これに対し、テキサス州西部地区連邦地裁のMicaela Alvarez判事は2026年8月6日、Striveの訴えを却下する判断を下しました。
判事の判断の中身
Alvarez判事は、Striveが独占禁止法上の「損害」を証明できていないと判断しました。判断の核心は、調剤薬とブランド薬(ゼップバウンド・ウゴービ等)が、同じ市場で競合する製品とは言えない、という点です。
判事は判決文で、調剤GLP-1薬は「医学的必要性からブランド品を使用できない患者にのみ提供されるものであり、通常の意味での市場競争における代替品とは合理的に理解できない」という趣旨を述べています。つまり、調剤薬はブランド薬が使えない患者向けの補完的な選択肢であり、両者が価格や販売数量を奪い合う「同じ市場」にはそもそも属していない、という理屈です。
Striveは控訴を検討しているとされています。
なぜこの裁判が重要なのか
GLP-1系の薬をめぐっては、ブランド薬の供給不足を背景に、調剤薬局が独自に製造・調剤した「コンパウンド版」の需要が一時的に拡大した経緯があります。しかしFDAが認める大量調剤の猶予措置は2026年5月に失効しており、調剤薬局側とブランドメーカー側の摩擦は、価格・供給・法的立場のいずれの面でも続いています。
今回の訴訟は、その摩擦が独占禁止法という土俵に持ち込まれた事例のひとつでした。却下という結果は、少なくとも今回の裁判所の判断としては、調剤薬とブランド薬は別市場という整理を示したことになります。
ヤバい点は?
- これは1つの連邦地裁の判断であり、最終的な判例として確立したものではありません。Striveは控訴を検討しています
- 「調剤薬とブランド薬は別市場」という判断は、この訴訟の独占禁止法上の争点に限った話であり、調剤薬そのものの安全性・品質を評価したものではありません
- 日本国内の薬機法上の扱いには直接影響しません
関連する成分
出典
- Law360「Eli Lilly, Novo Nordisk Antitrust Suit Tossed By Texas Judge」
- MLex「Eli Lilly, Nordisk win dismissal of US antitrust claims over GLP-1 drugs」
- BenefitsPro「Eli Lilly, Novo Nordisk win dismissal of GLP-1 antitrust case」(2026年8月11日)