「白玉点滴」の中身、最も重い区分で回収に 米当局、エンドトキシン高値でクラスI認定
米テキサス州の調剤薬局が、注射用グルタチオン(白玉点滴の主成分)をFDA最重区分「クラスI」で自主回収した。細菌エンドトキシンの規格逸脱が理由で、発熱や頻脈などの有害事象が実際に報告されている。
出典:FDA公式リコール通知/openFDA drug/enforcement API
米テキサス州の調剤薬局ビクトリー・メディカル・センター・ファーマシーが、注射用グルタチオンをFDA最重区分のクラスIで自主回収した。
理由は細菌エンドトキシンの規格逸脱。発熱・頻脈・血圧変動などの有害事象が実際に報告されている。
「白玉点滴」の主成分そのものが、米国で品質問題を起こした事例。
何が起きたのか
FDAの公式リコール通知およびopenFDA drug/enforcement APIによると、米テキサス州オースティンの調剤薬局ビクトリー・メディカル・センター・ファーマシーは2026年8月5日、注射用のコンパウンド・グルタチオン(200mg/mLマルチドーズバイアル)を自主回収しました。対象ロットは1980571・1981940・1984345の3ロット(有効期限2026年8月27日)。回収番号はD-0772-2026、FDAの分類はClass I——FDAの回収分類のうち最も重い区分で、「製品の使用が重篤な健康被害や死亡につながる合理的な可能性がある」場合に付けられます。回収理由は、出荷前検査で細菌エンドトキシンが規格を外れていたこと。流通範囲はフロリダ・ニューヨーク・テキサスの3州です。
実際に報告された症状
FDAおよび同薬局によれば、この製品を使用した患者から発熱、悪寒、激しい頭痛、吐き気、嘔吐、頻脈、血圧の変動、体の痛み、注射部位反応が報告されています。FDAはリコール通知の中で、エンドトキシン値が高い注射剤は「発熱、低血圧、炎症反応、アナフィラキシーショック、そして死亡を含む重大な医学的事象を引き起こす合理的な可能性がある」と、リスクの大きさを説明しています。これは今回のロットで実際に死亡が確認されたという意味ではなく、エンドトキシン高値の注射剤一般が持つリスクの大きさを示す記述です。
グルタチオンは「白玉点滴」の主成分
このサイトで既に扱ってきた通り、グルタチオンはアミノ酸3つからなるトリペプチドで、日本の美容クリニックで人気の「白玉点滴」の中身そのものです。日本では肝機能改善などの用途で承認された医薬品ですが、米国では今回のようにコンパウンド薬局が独自に調剤した注射剤として流通しており、FDAが承認・審査したものではありません。
FDAは以前から、グルタチオンを無菌の注射剤としてコンパウンドすることそのものに懸念を示しており、同種の製品を巡っては同時期に別の薬局(Optimal Balance Pharmacy)も同一理由で自主回収しています。1社だけの単発の事故ではなく、コンパウンド版グルタチオン注射剤という製品カテゴリ全体に関わる問題である可能性があります。
ヤバい点は?
- 分類はFDAの回収区分で最も重いClass Iです
- 発熱・頻脈・血圧変動などの有害事象は実際に報告されています。ただし「アナフィラキシーショックと死亡」はリスクの一般的な説明であり、今回のロットでの実際の死亡例が確認されているわけではありません
- 今回の対象は米国のコンパウンド薬局が調剤した注射剤であり、日本の美容クリニックで使われている製剤とは別の製品です。ただし「グルタチオン注射剤」という製品カテゴリ自体が持つリスクを考える材料にはなります
- 本記事は入手先・用量には触れません
関連する成分
出典
- FDA公式リコール通知「Victory Medical Center Pharmacy Issues Voluntary Nationwide Recall of Certain Lots of Compounded Glutathione 200 mg/mL Multi-Dose Vials Due to Elevated Endotoxin Levels」
- openFDA drug/enforcement API(recall_number: D-0772-2026、recalling_firm: Victory Medical Center Pharmacy)
- 複数の米メディア報道(報告された有害事象の内容を確認)
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