「承認された適応」のはずが、保険会社が入口で止めていた
無呼吸症治療のためゼップバウンドを処方された米国人女性が保険会社エレバンス・ヘルスを提訴。連邦判事は2026年4月、ERISA違反の主張が訴訟として成立すると認めた。
米国人女性エイミー・ニューカーク氏が、閉塞性睡眠時無呼吸の治療でゼップバウンドを処方されたのに保険会社エレバンス・ヘルス(旧アンセム)から給付を拒否されたとして提訴。
2026年4月、連邦地裁のブルックマン判事は、従業員退職所得保障法(ERISA)違反を理由にした請求の一部が訴訟として成立すると認めた。
ゼップバウンドはFDAが睡眠時無呼吸症への使用を承認した唯一の薬。「承認された適応」でも保険の入口で止められる実例になった。
何が起きたのか
2025年9月16日、インディアナ州のエイミー・ニューカーク氏が、保険会社エレバンス・ヘルス(旧アンセム)を相手取り、インディアナ州南部地区連邦地裁に集団訴訟を提起しました。訴状によれば、同氏は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療のためチルゼパチド製剤ゼップバウンドを処方されましたが、エレバンスの薬剤給付管理部門が事前承認申請の提出自体をブロックし、給付を受けられなかったとしています。
ゼップバウンドは、FDAがOSAへの使用を承認した現時点で唯一の薬です。原告側は、エレバンスがこの薬を一律に「減量目的」として扱い、実際の処方理由を審査せずに給付対象から外している疑いがある、と主張しています。
裁判はどう動いたか
2026年4月、連邦地裁のマシュー・ブルックマン判事は、原告側のERISA(従業員退職所得保障法)違反に基づく給付請求と受託者義務違反の主張について、訴訟として成立する(dismissalを認めない)と判断しました。一方で、原告が具体的な資金の特定をしていないとして、不当利得の返還(disgorgement)を求める請求については退けています。
つまり裁判は完全に原告勝訴が確定したわけではなく、主張の一部が今後も争われる段階に進んだということです。
ヤバい点は?
- この時点では「保険会社の対応が違法だった」と確定したわけではありません。審理が続くことが認められた段階です
- FDAが承認した適応症であっても、保険の給付判断は保険会社・薬剤給付管理会社ごとに別に行われます。承認と給付は別の関門です
- 米国の民間保険・ERISA制度に基づく話であり、日本の公的医療保険の仕組みとは前提が異なります
関連する成分
- チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド)
- 速報:一度は外したゼップバウンド、CVSが10月に「復活」させる
- 同じ主張なのに、判決は正反対だった。半年しか離れていない — この訴訟とCignaの勝訴事例を比較
出典
- Bloomberg Law「Elevance Must Defend Zepbound Coverage Lawsuit Over Sleep Apnea」
- Law360「Elevance Won’t Cover Zepbound To Treat Apnea, Patient Says」
- Mealey’s「ERISA Suit Over Zepbound Coverage For Apnea Mostly Survives Dismissal」
- 訴状(Newkirk v. Elevance Health, Inc., Case No. 1:25-cv-01850-MPB-MKK、Nichols Kaster PLLP公開分)
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