565件調べて出た結論。「宣伝が、科学より先に進んでいる」
UCLAの整形外科医らがBPC-157等6種の未承認ペプチドについて565件の研究を精査した査読論文を発表。67%が動物実験のみで、ヒトでの効果は裏付けられていないと結論づけた。
出典:Am J Sports Med.(UCLA David Geffen School of Medicine)
UCLAの整形外科医らが、BPC-157等の人気ペプチド6種について565件の研究を精査した査読論文を発表した。
67%が動物実験(前臨床)のみで、ヒトでの臨床研究は少数かつ質が低かった。
結論は「現時点のエビデンスでは、既存の整形外科標準治療の代わりにも補助にも推奨できない」。
未承認の「回復系」ペプチドを人気にしている物語と、実際の科学的根拠との差を、UCLAの研究チームが数字で示しました。
何を調べたのか
UCLA David Geffen School of Medicineの整形外科医らが、Am J Sports Med誌(2026年8月11日オンライン先行公開)にPRISMA準拠のスコーピングレビューを発表しました。対象はBPC-157・TB-500・CJC-1295・MK-677・イパモレリン・GHK-Cuの6種類。合計565件の研究を精査したものです。本稿ではPMID 42578445としてNCBI E-utilities経由に抄録原文を確認しています。
分かったこと
精査した研究のうち67%が前臨床(動物)モデルのみでした。ヒトでの臨床研究は存在するものの、少数かつ対照群やデザインが不十分なものが目立ったといいます。
特に触れられているのがMK-677です。ある治験は、うっ血性心不全のリスクを理由に中止されていました。
論文は次のように結論づけています(抄録原文の直接引用)。「Because of the lack of robust efficacy and safety data, peptide supplements should not currently be recommended as a replacement or adjunct for existing orthopaedic standard of care.」——安全性・有効性の十分なデータがない以上、既存の整形外科標準治療の代わりにも補助にも、現時点では推奨できないという趣旨です。
なぜこの論文が重要なのか
このサイトでもBPC-157やTB-500を「動物で有望、ヒトでは空白」と紹介してきましたが、UCLAの今回のレビューは、その空白を565件という規模で定量的に確認した査読誌の一次データです。海外のジム界隈で語られる「効いた」という話の熱量と、実際に積み上がっている科学的根拠の間には、まだ大きな距離があることが改めて示されました。
出典
- Tewari K, et al. Am J Sports Med. 2026 Aug 11 online ahead of print.(PMID 42578445)UCLA David Geffen School of Medicine
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