控訴しても、結果は変わらなかった。量産を続ける最後の言い訳が消えた
米第5巡回区控訴裁判所が2026年8月27日、FDAによるセマグルチド・チルゼパチドの「医薬品不足リスト」除外を適法と認める判決を下した。コンパウンド薬局側が求めていた、品薄を理由にした大量調合の継続という主張は退けられた。
出典:米第5巡回区控訴裁判所 判決文(No. 25-10758)
米第5巡回区控訴裁判所が2026年8月27日(判決文への追記は9月1日)、FDAがオゼンピック/ウゴービとマンジャロ/ゼップバウンドを「医薬品不足リスト」から除外した判断を適法と認めた(本稿で判決文原文を直接確認)。
コンパウンド薬局側が求めていた「品薄を理由にした大量調合の継続」という主張は、地裁に続いて控訴審でも退けられた。
米第5巡回区控訴裁判所が2026年8月27日、FDAによるセマグルチド(オゼンピック/ウゴービ)とチルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド)の「医薬品不足リスト」除外判断を適法と認める判決を下しました。本稿で判決文原文(ca5.uscourts.gov)を直接確認しています。
何が争われていたのか
原告は調剤薬局の業界団体Outsourcing Facilities Associationと、コンパウンド薬局North American Custom Laboratories(FarmaKeio Superior Custom Compoundingの屋号で営業)。被告はFDAとFDA長官代行のKyle Diamantas氏で、セマグルチドの製造元ノボノルディスクが利害関係者(Intervenor-Appellee)として参加しています(事件番号25-10758)。同日、チルゼパチドを巡る同種の事件(25-10600、被告イーライリリー)も同じ裁判所が判断しています。
米国の制度では、FDA承認薬が「不足リスト」に載っている間だけ、コンパウンド薬局が承認薬とほぼ同じ内容の薬を調合して販売することが例外的に許されます。セマグルチド・チルゼパチドは供給不足を理由に一時この例外の対象でしたが、FDAは供給が回復したとして不足リストから除外。コンパウンド業者側は「除外の判断は誤りで、意見公募の手続きも踏んでいない」として提訴していました。
判決の中身
控訴裁判所は地裁の判断をそのまま支持しました。判決文(Per Curiam、裁判官3名の合議)は次のように述べています。
Any error by the FDA in not proceeding through the APA’s notice and comment procedures was harmless, and the FDA’s ultimate action was not arbitrary or capricious. (FDAが意見公募の手続きを踏まなかったことに誤りがあったとしても、それは実害のないものであり、FDAの最終的な判断が恣意的・専断的だったわけではない)
法律専門メディアClarkHillの解説記事(本稿で確認)によれば、裁判所は薬局側が提出したスクリーンショットや患者アンケートよりも、製造企業が提出した供給・在庫データのほうを合理的な根拠として重視したとされています。
これで何が変わるのか
最終的な503B規則案(バルク原薬リストからセマグルチド・チルゼパチドを除外するかどうかを決める規則)そのものは、まだ確定していません。ただし今回の判決で、コンパウンド業者が主張してきた「不足リスト除外の判断自体が違法」という法的な足場は、少なくともこの2件については崩れました。判決文は「公表指定なし(not designated for publication)」の非公式判例ですが、同種の主張を続ける業者にとっては不利な材料になります。
出典
- United States Court of Appeals for the Fifth Circuit, Outsourcing Facilities Association v. FDA, No. 25-10758(2026年8月27日判決、2026年9月1日改訂版。本稿でPDF原文を直接確認)
- ClarkHill「Fifth Circuit Upholds FDA on GLP-1 Shortage Decisions」(本稿でWebFetch直接確認)