一度負けたはずの薬に、1億ドルの"再挑戦"が用意されていた
セマグルチド単剤のアルツハイマー病治験EVOKE/EVOKE+が失敗した8か月後、アルツハイマー病協会が予算1億ドルの新試験「PROTECT-Cog」を発表した。今度は生活習慣介入とGLP-1系薬を組み合わせる設計で、単剤治療とは違う勝負に出る。
出典:アルツハイマー病協会 公式発表(PRNewswire)
2026年7月13日、アルツハイマー病協会が新しい認知症予防試験「PROTECT-Cog」を発表した(本稿で公式発表を直接確認)。予算1億ドル、期間3年。
GLP-1単剤で挑んだEVOKE/EVOKE+が2025年11月に主要評価項目未達で終わった8か月後、今度は生活習慣介入との組み合わせという違う設計で再挑戦する。
アルツハイマー病協会が2026年7月13日、ロンドンで開催されたAAIC(アルツハイマー病協会国際会議)2026で、新しい国際共同試験「PROTECT-Cog」(Prevention of Risk fOr cogniTive dEcline through Combined Therapy)を発表しました。本稿で公式発表(PRNewswire)を直接確認しています。
何を試すのか
PROTECT-Cogは、3年間・6か月ごとの認知機能評価を行う大規模試験です。予算は1億ドル。すでに効果が確認されている生活習慣介入プログラム(米国のUS POINTER試験の後継設計)に、代謝に働きかける薬(GLP-1受容体作動薬など)を組み合わせる点が特徴です。参加者は、密度の高い「構造化プログラム」か、内容は同じでも接触回数を減らした「軽量版プログラム」のいずれかに割り付けられます。対象はGLP-1という薬効群そのものであり、セマグルチドに限定した設計ではありません。
なぜ「もう一度」なのか
2025年11月24日、セマグルチド単剤でアルツハイマー病早期段階の進行を抑えられるかを調べた大規模第III相試験EVOKE/EVOKE+(参加者3,808人)が、主要評価項目である認知症尺度の悪化抑制を達成できなかったと発表されています(詳細はこちらの記事)。
PROTECT-Cogは、その8か月後に出てきた次の一手です。ただし「同じ薬でもう一度」ではありません。EVOKE/EVOKE+は薬だけの効果を単独で測る設計でしたが、PROTECT-Cogはすでに一定の効果が確認されている生活習慣介入(運動・食事・認知トレーニングなど)に薬を上乗せする設計に変わっています。「薬単体で効くか」から「効果が分かっている土台に、薬を足すとどうなるか」へと、問いの立て方そのものが変わったと読めます。
現時点で分かっていないこと
本稿の確認時点で、PROTECT-Cogの臨床試験登録番号(NCT番号)は公式発表には記載されておらず、ClinicalTrials.govでも「PROTECT-Cog」という名称での登録は確認できていません。登録が確認でき次第、詳細を追記します。使用する具体的な薬剤名も、公式発表では「GLP-1受容体作動薬、または類似の薬」とされるにとどまり、特定の製品名は明かされていません。
出典
- Alzheimer’s Association「Alzheimer’s Association Launches PROTECT-Cog Study to Test U.S. POINTER Lifestyle and GLP-1 or Similar Drug to Cut Risk of Cognitive Decline」PRNewswire, 2026年7月13日(本稿でWebFetch直接確認)
- Novo Nordisk「EVOKE and EVOKE+ topline results」2025年11月24日発表
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