速報2026-10-07

同じ薬、同じ年なのに「市場規模」が調査会社によって37億ドル違った

セマグルチドの2026年の世界市場規模について、調査会社ごとの推計を直接確認したところ、282.4億ドルと319.7億ドルという、同じ「世界全体」のはずの数字に37億ドルの差があった。さらに米国限定の推計を世界の数字と比べてしまう混同も起きやすいことが分かった。

出典:Coherent Market Insights/Mordor Intelligence/Towards Healthcare

セマグルチドの2026年の「世界市場規模」を調査会社ごとに直接確認したところ、282.4億ドルと319.7億ドルという、同じ「世界全体」を指すはずの数字に37億ドルの差があった。

別の調査会社は「米国だけ」で253.9億ドルという推計も出しており、対象地域が違う数字を並べると、さらに実態を見誤りやすい。

同じ薬・同じ年の「市場規模」でも、どの会社に聞くかで答えが変わる。

セマグルチド(オゼンピック・ウゴービ・リベルサスの有効成分)の「2026年の市場規模」について、調査会社の公式ページを本稿が直接確認したところ、会社ごとに数字が食い違っていることが分かった。

調査会社Coherent Market Insightsは、セマグルチドの世界市場規模を2026年時点で282.4億ドルと推計している。一方、別の調査会社Mordor Intelligenceは、同じく世界市場を対象に319.7億ドル(2026年〜2031年のCAGR12.93%)と推計していた。どちらも「世界全体」を対象にした数字のはずだが、37億ドル(約13%)の差がある。

さらに、調査会社Towards Healthcareは「米国市場に限定」した推計を出しており、2025年233.3億ドルから2026年には253.9億ドルに拡大すると見積もっている。この数字は対象地域が「米国のみ」であるため、先の2社の「世界全体」の数字と単純に並べて比べることはできない。しかし実際には、こうした調査会社の推計は見出しだけ切り取られて引用されることが多く、「米国の数字」と「世界の数字」が同じ文脈で語られてしまう混同が起きやすい構造になっている。

同じ薬・同じ年について、複数の調査会社が異なる前提(対象地域・算出モデル)で推計を出し、それぞれの数字が「市場規模」という同じ言葉で流通している。どの数字を引用する場合も、対象が世界全体なのか、米国など特定地域だけなのかを確認する必要がある。「調査会社の推計はそれぞれ別の箱」という同じ構図は、NRF/Big Chalk Analyticsのグロサリー業界65億ドル損失推計でも、算出モデルの原典が公開されていない問題として既に報じている。

【2026-10-09追記】 同じ「市場規模」という言葉の混同を、別の調査会社の推計でも確認した。市場調査サイトfactmr.comは、GLP-1薬剤のオンライン処方(テレヘルス)プラットフォーム市場を2026年に7.638億ドルと推計している一方、GLP-1薬剤市場全体は686.5億ドルと推計している。両者の差は約90倍で、テレヘルス経由の処方がGLP-1薬剤全体のごく一部にすぎないことを示唆する数字ではあるが、「何をテレヘルス市場に含めるか」という算出方法の詳細は公開情報からは確認できなかった。「市場規模」という同じ言葉が、対象範囲によって90倍違う数字を指しうるという、本稿のテーマそのものを裏付ける追加例になる。

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本記事は海外の一次情報を日本語で要約した速報です。医学的助言ではありません。執筆:ペプチ堂管理人 /最終更新:2026-10-09