訴えられたあと言われた通りにした会社が、四半期で売上4割増やしていた
ノボノルディスクに提訴されコンパウンド薬からブランド品へ転換したHims&Hersが、2026年第2四半期決算で売上7.53億ドル(前年比+38%)・会員290万人(+19%)を発表し、通期予想を上方修正した。規制と向き合った結果が、数字に出た。
出典:investors.hims.com / STAT News
オンライン診療大手Hims&Hersは2026年2月にノボノルディスクから特許侵害で提訴され、3月に和解。コンパウンド薬からブランド品GLP-1へ軸足を移すと発表していた。
2026年第2四半期の決算で、売上7.53億ドル(前年比+38%)・会員290万人(+19%)を記録し、通期ガイダンスを31〜33億ドルへ上方修正した。
「規制に疑われたことをやめた会社」が、そのあと伸びている。
疑われたことをやめただけの会社が、業績でも結果を出した。
何が起きたのか
既報の通り、Hims&Hersは2026年2月にノボノルディスクから特許侵害で提訴され、1ヶ月後の3月に訴訟を取り下げて正規品供給の提携を結んだ。あのとき株価は37〜46%急騰したが、それはあくまで「和解した」というニュースへの反応だった。
本稿で確認したのは、その後の実際の業績だ。Hims&Hersが発表した2026年第2四半期決算によると、売上は7.53億ドル(前年同期比+38%)、会員数は290万人(+19%)。通期の売上ガイダンスは31億〜33億ドルへ上方修正された。Weight Loss(体重管理)・Men’s Dermatology(男性皮膚科)・Sexual Health(性の健康)・Women’s Dermatology(女性皮膚科)の各事業は、いずれも年間収益1億ドルを超えている。
同社は2026年中に、臨床医が必要と判断した場合のみコンパウンド薬を提供するという方針へ転換した。つまり「規制・州司法長官から疑義を呈されていたやり方」を縮小し、ブランド品中心のビジネスへ寄せた結果、業績が伸びたことになる。
「自分から切り替えた会社」との比較
業界2番手のLifeMDは、Hims&Hersより先に自らコンパウンド薬をやめ、新規患者の約95%をブランド品から治療開始させていた。Hims&Hersは訴訟という外圧がきっかけだったのに対し、LifeMDは先回りして同じ方向に進んでいた。2社とも同じ四半期に、同じ方向の決算を出したことになる。
【2026-10-09追記】撤退したのに、客の4割はまだそこにいた
Hims&Hersが自社の決算で「ブランド品中心への転換」を誇っているのと同じ時期に、業界推計では2026年の新規テレヘルス患者の41%が、コストや地域的な品薄を理由にコンパウンド版セマグルチドを選んでいるという数字が報告されている。Hims&Hers・Roという大手2社が公式にコンパウンド薬の取り扱いを縮小・終了する方針を打ち出した一方で、需要そのものがそれに合わせて消えたわけではない、ということを示す数字だ。この推計の算出方法の詳細(調査対象・集計期間)については、本稿では一次資料への到達ができていない。
ヤバい点は?
- 本稿の数字はSTAT News等の報道経由の確認で、Hims&Hers社IR一次ページ(investors.hims.com)への直接WebFetchは実施していない
- 上記の「41%」は業界レポート経由の二次情報で、Hims&Hers・Ro以外の中小テレヘルス事業者を含む市場全体の推計。Hims&Hers自社の患者構成を直接示すものではない
- 「ブランド品中心への転換=安全性が高い」という意味ではない。コンパウンド薬自体が違法というわけではなく、FDA・州司法長官が問題視したのは調剤の運用面(処方の妥当性確認の甘さ等)
- Hims&Hersは「医師が臨床的に必要と判断すれば」コンパウンド版の提供自体は続けるとしており、完全にやめたわけではない
- 日本にはHims&Hersのようなテレヘルス企業による大規模なGLP-1オンライン処方のビジネスモデルは存在せず、直接の比較対象はない
ペプチ堂管理人の本音
規制に疑われて渋々変えた会社の方が伸びている、というのは皮肉に見えて実は分かりやすい話だと思う。コンパウンド薬は安いぶん粗利も薄いし、警告状や訴訟のリスクを抱え続けるコストの方が重かったということだろう。Empower Pharmacyのように4回目の警告状を受けてもなお同じやり方を続ける薬局もある中で、方針転換した側が数字で結果を出したのは一つの答え合わせに見える。
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出典
- STAT News、investors.hims.com経由の決算報道(本稿でWebSearch確認)
- Hims&Hers 2026年第2四半期決算発表
- 業界レポート(新規テレヘルス患者の41%がコンパウンドセマグルチドを選択、本稿でWebSearch確認、2026-10-09追記。一次資料未到達)