何者? 肌の色素をつくる仕組み(メラノコルチン)に働くペプチド。闇で出回るメラノタンIIの「正規版の兄」にあたります。
海外では? 光に当たれない希少疾患(EPP)の治療薬として、米国で2019年に承認されています。
日本では? 未承認です。
結局、なにをする成分?
体内で色素の生成を促すホルモン(α-MSH)を、安定に作り替えた13アミノ酸のペプチドです。皮膚のメラニンを増やし、光への耐性を上げる方向に働きます。
重要なのは剤形です。粉を溶かして打つ類のものではなく、米粒大のインプラントを医療機関で皮下に埋め込む製剤(SCENESSE)として承認されています。
なぜ図鑑に載せるのか
このサイトにはメラノタンIIのページがあります。海外で「日焼けペプチド」として闇流通している未承認物質です。アファメラノチドは、同じ受容体ファミリーに働く分子が、正規の開発ルートを通るとどうなるかを示す対照例です。
- メラノタンII:ヒトで承認に至らず。安全性データの体系的な蓄積なし。闇流通
- アファメラノチド:希少疾患に絞って第III相を実施し、承認。医療機関でのみ使用
同じ「肌を黒くする系」でも、検証を通ったかどうかで扱いは正反対になります。
で、効くの?
| 研究の段階 | 到達 | 中身 |
|---|---|---|
| ヒト第III相 | ○ | EPP患者を対象に、痛みなく日光に当たれる時間の延長を確認(NEJM 2015) |
| 規制の判断 | ○ | 欧州(2014年)、米国(2019年)で承認 |
| 美容目的(日焼け) | × | 承認外。健常者の美容使用を検証した質の高い試験はない |
対象のEPP(赤芽球性プロトポルフィリン症)は、日光に当たると強い痛みが出る希少疾患です。承認はこの疾患に対してだけで、「安全に日焼けできる薬」として認められたわけではありません。
ヤバい点は?
- 承認された使い方は「医療機関でのインプラント埋め込み」だけです。注射剤として個人に売られているものは承認製剤ではありません
- 美容目的での長期使用の安全性は検証されていません。色素への長期作用(ほくろの変化など)は、メラノコルチン系全体で注意が語られている論点です
- 日本では未承認のため、個人輸入品で健康被害が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象外です
日本と米国の今
| 日本 | 米国 | |
|---|---|---|
| 承認 | なし(未承認) | SCENESSE として承認(2019年10月、EPPの成人) |
| 入手 | 正規ルートなし | 認定施設での埋め込みのみ |
ペプチ堂管理人の本音
メラノタンIIのページを書いたとき、「じゃあ正規に承認された側はどうなっているのか」を並べて見せたくなりました。答えがこの分子です。同じ発想の分子でも、希少疾患に絞って10年かけて検証すれば薬になり、検証を飛ばして「日焼けサプリ」として売れば闇市場になる。分子の善悪ではなく、通ったプロセスの違いがすべてです。使用は勧めませんし、入手方法にも触れません。
よくある質問
Q. メラノタンIIとは何が違うのですか? A. どちらもメラノコルチン系に働きますが、アファメラノチドは希少疾患EPPで第III相まで実施して承認された医療用製剤、メラノタンIIはどの国でも承認されていない闇流通の物質です。
Q. 日焼け目的で使えますか? A. 承認された用途はEPPという疾患の治療だけで、美容目的の使用は検証されていません。
Q. 日本で使えますか? A. 未承認です。承認薬ではないため、健康被害が出ても救済制度の対象外です。
関連する成分
- メラノタンII — 同系統の未承認・闇流通側
- PT-141(ブレメラノチド) — 同じメラノコルチン系で、別の用途で承認された分子
出典
- Langendonk JG, et al. Afamelanotide for Erythropoietic Protoporphyria. N Engl J Med. 2015;373(1):48-59.(欧州・米国の第III相2試験/PMID: 26132941)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26132941/
- FDA. Drugs@FDA — SCENESSE(afamelanotide)NDA210797、2019年10月8日承認。openFDA API で2026年8月24日に照合
- 日本:アファメラノチドを有効成分とする承認医薬品は確認できない
- 海外ペプチド情報の見分け方




